Race Report from Circuit

2023/10/26

第7戦 オートポリス:ポイント圏内を見据えるレースも トラブルで今季初のリタイア – 2023 SUPER GT

AUTOPOLIS(JPN)
October 14 / SAT – October 15 / SUN
Yogibo NSX GT3 [GT300 class]
Driver : Yugo Iwasawa / Reimei Ito

ポイント圏内を見据えるレースも
トラブルで今季初のリタイア


Report of Saturday

土曜日公式練習/公式予選

バランスは悪くない状況
公式練習の終盤にトラブル

2023年のSUPER GTもいよいよ残すところ2戦。第6戦SUGOでは苦戦を強いられたYogiboRacingにとっては、最終戦へ向けて好結果を残し、上昇気流に繋げたいところ。迎える第7戦の舞台は、大分県日田市のオートポリス。中高速コーナーが続き、タイヤに対する攻撃性が高い路面が特徴。酷暑のなかでのレースが続いていた今季だが、気温も急激に下がるなかで、この第7戦あたりから、コース上に落ちたタイヤカスがタイヤ表面にくっついてしまう『ピックアップ』という現象が出やすいコースだ。予選で前に行くためのクルマのスピードはもちろんだが、決勝レースではこのピックアップをいかに拾わず、安定したペースで走ることができるかが重要ともなる一戦と言えた。

そんなレースウイークは10月14日(土)、午前9時25分からの公式練習でスタートした。早朝まで降っていた雨は止み、ほぼドライとなっていたが、あまりコンディションが良くない状況。Yogibo NSX GT3は伊東黎明からコースイン。バランスは悪くなく、一度ピットイン後1分45秒545というベストタイムを記録し岩澤優吾に交代した。ただ、公式練習終盤に車両後方から煙が出ているという報告がもたらされ、ピットインし車両修復を実施。そのため専有走行、さらにその後行われたフルコースイエローのテストやサーキットサファリを走れず、煮詰めきれないまま走行を終えた。

今回もQ1突破を達成
13番手につける

公式練習の順位は15 番手と、アタックができなかった状況の割には悪くはない。ただ午後3時から行われた公式予選に向けては、Q1 突破のためには一抹の不安もあった。

トラブルは公式練習の後、しっかりと修復されチームは公式予選Q1 のB組に臨んだ。アタッカーを務めた伊東は、4周目に1分44 秒324 というタイムを記録する。「合わせ切れていない状況だったので、自分としてはけっこう攻めました」という伊東は、その甲斐あって7番手に。見事Q1 突破を果たし、岩澤に繋げた。

今季のQ2 は全体的にタイムが大きく上がる状況があったが、オートポリスはやはりやや特殊。「今年経験してきたサーキットのなかでも変化の度合いが少なかったです」という岩澤はやや「行きすぎた」感覚もあったものの、しっかりとアタックをまとめ1分44 秒324 というタイムを記録。Yogibo NSX GT3 は13 番手という位置で予選を終えることになった。決勝レースに向けて、ポイント獲得は十分に狙える位置。チームは決勝日に向けてセットアップを煮詰めていった。


Report of Sunday

日曜/決勝レース

少しずつ順位を上げるも
ピットイン前に緊急事態

決勝日となる10 月15 日(日)のオートポリスは、早朝こそ曇り空だったが、時折日がさしコンディションはドライ。ただ風が強く、標高が高いこともあり薄手の上着では肌寒さが際立つようなコンディションとなっていた。事前の予想よりも気温は低め。こういった状況では、タイヤのピックアップはひどくなる。

気温17℃/路面温度27℃というコンディションのもと、午後1時30 分に迎えた決勝レース。Yogibo NSX GT3 のスタートドライバーは伊東が務めた。昨年もオートポリスではレースは開催されているが、今季は長丁場の450km レース。ライバルも含めて、終盤にはどんなコンディションに変化するかは予想がつかない状況で、熱戦の火ぶたが切って落とされた。

1周目、伊東は混戦のなかポジションをキープしながら前を追っていったが、登り坂で複雑なカーブが続くセクター3で、前を走っていた#96 RC F が姿勢を乱してしまう。伊東は接触を避けて減速するが、その間に外側から複数台にかわされ16 番手でオープニングラップを終える。フロントタイヤの温まりが悪く、その後も#6 アウディにかわされるなど、立ち上がりは苦しい展開となった。

とはいえ、GT3 規定車両のなかではそこまで悪いスピードではない。ポイント圏内を争うポテンシャルはありそうだった。伊東は一度はかわされた#6 アウディと競り合うなど、タイヤに熱が入ってからは少しずつポジションを上げていった。

このレースは、他の450km レースと同様に2回の給油をともなうピットインが義務づけられている。伊東は順調に序盤のレースを進め、1回目のピットインのタイミングをうかがった。しかしそんなタイミングで、伊東は左フロントに突如異変を感じ取った。「タイヤバーストか……!?」という伊東だったが、中継映像には、Yogibo NSX GT3 の左フロントタイヤが外れている様子が映し出された。ただ、NSX GT3 の駆動輪はリヤ。フロントを擦りながらも、伊東はなんとかピットまで帰りつくことができた。

幸か不幸か、外れたタイヤの処理のために、伊東がピットインした直後にフルコースイエローが出された。必然的にピットインの遅れは最小限にできる。チームは伊東からの無線の直後、緊急ピットインを少し早めのルーティンストップとするべく作戦を切り替え、岩澤に交代。タイヤが外れた影響も最小限でピットアウトすることができた。

岩澤が冷静に車両を止める
最終戦の逆襲目指す

ところが、ピットアウトしようとする岩澤にABS の警告灯が表示される。時折あることで、その際にはピットアウト後正常に戻るのだが、今回はブレーキに異常が発生していた。しかもコクピットの岩澤は、車内に煙が発生していることを感じ取った。

ピットアウト後の1コーナーで、岩澤はやはりブレーキに異常を抱えており、止まりきることができない。白煙を上げコースアウトを喫すると、岩澤は瞬時に判断し、アウト側に控えるオフィシャルのそばに車両を停めた。前日も煙が発生していたこと、さらに今季、火災でライバル2台が大きな損傷を負っていた。岩澤の賢明な判断ですぐにオフィシャルが消火活動に入ったことから、幸いYogibo NSX GT3 にほとんどダメージはなかった。

とはいえ、結果的には今季初のリタイアとなってしまった。いよいよ次戦は最終戦だ。今回の悔しさを晴らし今季を締めくくるべく、NSX GT3 にとって相性が良いもてぎで、上位進出を狙いにいく。


Race Comment

レースコメント

悔しい結果ですが
最後まで諦めずに

芳賀美里 監督
MISATO HAGA
Twitter:@misato_SUPERGT

スタート直後順位を落としたものの序盤から追い上げをみせてくれてポイント圏内が見える戦いをしていただけに、今季初のリタイアとなってしまい残念です。伊東選手のドライブ中にバーストだと無線が入り、想定より早いピットインにはなりましたが緊急にピット入ってきました。映像を観たらバーストではなくタイヤがついていなくて。自分たちが出してしまったものですがフルコースイエローだったこともあり、最小限の遅れでピットアウトできたのですが、岩澤選手からも煙が出ているという報告があって。悔しいですが、リタイアとなってしまいました。次戦は早いもので、もう最終戦です。ライバルたちもノーウエイトとなり、簡単には勝たせてもらえないと思いますが、最後まで諦めずに頑張りたいと思います。

最終戦へ仕切り直し
良い戦いができるはず

伊東黎明 選手
REIMEI ITO
Twitter:@reimei_ito

レースでは1周目、前を走っていたクルマが姿勢を乱していた間に、他のクルマに先行されてしまいましたが、その後はピックアップの振動がありましたが、タイヤが外れる前兆はなかったんです。セクター3でバーストのような症状が出て、緊急ピットインを行うことになりました。その後岩澤選手に代わってからすぐストップしてしまって。残念なレースになってしまいました。今季は開幕戦で4位になりましたが、決して実力だけで勝ち取った結果ではないですし、最終戦でしっかりインパクトを残したいと思っています。もてぎはHonda NSX GT3にとってはこれまでの結果を見ても良い結果を残しているコースですし、しっかりアジャストしていけば良い戦いができると思います。仕切り直して、みんなで気持ちを上げていきたいです。

トラブルは検証が必要
最終戦を集大成に

岩澤優吾 選手
YUGO IWASAWA
Twitter:@yugoiwasawa

クルマをチェックしなければ分かりませんが、ピットアウトした後、ABSのエラーが出ていて、ピットレーンリミッターを切った後に今度はシートの右側から煙が出ていました。正直判断が難しかったのですが、公式練習でも火が出ていたこともあり、ファイアステーションがある1コーナーでクルマを停めてオフィシャルの皆さんに手助けしていただくことになりました。結果的に今季初のリタイアとなってしまいましたが、トラブルの原因、タイヤが外れた原因はちゃんと検証しなければいけないと思います。次戦はもてぎででの最終戦ですが、もてぎは僕自身個人的にすごく好きなコースですし、今までのキャリアでもたくさんの良い思い出があるコースです。一年間のすべての集大成として、良い結果を残せるように頑張りたいと思っています。


Information

Yogibo公式ホームページで
Yogibo Racing公式グッズが買える!

スタイリッシュなロゴとカラーで、問い合わせも多いチーム着用のYogibo Racing 公式グッズ。実はサーキットでのYogibo グッズ販売ブースでも購入が可能ですが、Yogibo 公式ホームページでも購入が可能になりました。

ホームページで購入可能なのはTシャツ(2色)、トートバッグ、マフラータオル、マスク、さらにぜひお部屋に貼りたい2023 年バージョンのポスター。

また現地販売ブースでは、ドライバーアピアランス等でもおなじみラウンドロゴ入りのYogibo Maxカバーも購入できるようになりました。
ぜひYogibo Racing グッズでサーキットでのファッションをコーディネートしてください!

Yogibo Racing 公式オンラインショップ


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