Race Report from Circuit

2022/07/27

第3戦 富士スピードウェイ:1週間で見えたチームの成長。念願の初表彰台を獲得 – 2022 GT World Challenge Asia

FUJI SPEEDWAY
July 22 [ FRI] – July 24 [SUN]
Yogibo FERRARI 488 GT3 [GT3 class]
Naoki Yokomizo
Kiyoto Fujinami

Qualify : Race1=2nd Race2=4th
Race : Race1=2nd Race2=4th

1週間で見えたチームの成長。
念願の初表彰台を獲得


Practice & Qualify

フリープラクティス/予選

ドラマが多い週末となった第2ラウンドの鈴鹿から1週間。ファナテックGTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイ・AWSは舞台を静岡県の富士スピードウェイに移し、第3ラウンドを迎えた。鈴鹿で急遽使用を開始したYogibo Racingのフェラーリ488GT3 EVOは、ブランドカラーの鮮やかなブルーをまとい富士に登場した。

今回の第3ラウンドは木曜のプラクティスがなく、走行開始は7月22日(金)から。午前11時10分からスタートしたフリープラクティスは、早朝に降った雨が残るダンプコンディションとなったが、まずは横溝直輝からステアリングを握りコースイン。アウト〜インを繰り返しながらチェックを重ねていく。鈴鹿では急遽使用することになったことから、素性を確認することもできないままのレースとなったが、このセッションで以前の車両との個体差を確認。終盤には藤波清斗に代わり、藤波が1分41秒756を記録。まずはトップタイムでセッションを終えた。

午後3時からスタートしたオフィシャルプラクティスは、天候も好転するとともに暑さも増すなかでの走行となったが、横溝がセットアップを進め、藤波に交代しながら走行。終盤、藤波が1分40秒743までタイムを縮め、3番手でセッションを終えた。ただ、鈴鹿から速さをみせていた#777フェラーリが藤波のベストタイムよりも0.8秒も速い。横溝も藤波もある程度の手ごたえを得ながらも、#777は同じフェラーリを使うことから、悔しい表情を浮かべた。彼らに追いつくためにチームはさらにセットアップを煮詰め、7月23日(土)の予選日に備えた。

迎えた予選日は、朝から酷暑。午前9時42分にスタートしたクオリファイ1では、まずは横溝がアタックに臨んだ。残り8分というタイミングでコースインした横溝は、4周目に1分40秒705を記録する。しかし、#777フェラーリにはわずかに及ばず、横溝は2番手にはつけたものの、開幕から続けてきたレース1の連続ポール記録は途絶えてしまった。

続くクオリファイ2では、藤波がアタック。横溝と同じく8分ほど後にコースイン。3周目、1分40秒494までタイムを伸ばしてみせたが、プロ同士の超僅差の予選のなかで4番手に。やはり#777フェラーリには先行されており、藤波は悔しい表情を浮かべた。


Race1 Report

決勝レース1

迎えた決勝レース1。今回は2番手から横溝がスタートドライバーを務め、午後2時45分、決勝の火ぶたが切られた。スタート直後のTGRコーナーではトップを奪えなかったものの、ポールポジションを獲得した#777フェラーリはブロンズドライバー。またニュータイヤを履きウォームアップに苦戦しており、2周目、横溝はスリップストリームから抜け出すと、一気にトップへ浮上した。

その後も横溝はトップを守りながら、1秒ほどのギャップを築いていくが、そうやすやすとリードを広げさせてもらえない。9周目には0.2秒差まで接近されたが、それでも横溝はトップを死守。ピットウインドウがオープンすると、15周を終えピットに入り、藤波へ交代した。

ピット作業も順調で、藤波は各車が作業を終えるとトップに戻ることに成功した。しかし、後方からは圧倒的なスピードで#777フェラーリが近づいてくる。ただ藤波にも意地がある。20周目から21周目に入るメインストレートで、周回遅れを左右からかわしながらバトルを展開すると、一度前に出られたものの、スリップストリームに入り直し、TGRコーナーでブレーキング勝負を仕掛けた。

ただ、相手のスピードは圧倒的で、首位防衛はならず。しかしそれでもその後も藤波は高いペースを保ち続け、総合2位/シルバークラス優勝を飾ってみせた。総合優勝が得られなかったのは悔しいところだが、「明日に繋がる表彰台だと思います」と横溝はチーム初表彰台を得られたことに安堵の表情を浮かべた。


Race2 Report

決勝レース2

チーム初の表彰台を得た翌日、7月24日(日)は午後1時10分から決勝レース2を迎えた。前日の予選で4番手を得ていたYogibo Racingは、藤波がスタートドライバーを務めた。

スタートで藤波は3番手に浮上し、序盤はトップ2についていくが、前日から少しずつ厳しくされていた性能調整、さらにシルバーカテゴリーのコンビのドライバーの車両に課せられるウエイトが響き、プロ同士が多く争う序盤の展開のなかで、防戦一方となってしまう。5周目には4番手、さらに6周目には7番手と少しずつポジションが下がってしまう。

それでも1分42秒台から43秒台のペースを保ち続けた藤波は、18周を終えピットイン。横溝に交代し、追い上げを託した。その期待に応え、横溝は少しずつポジションアップ。ファイナルラップには総合3番手を走っていた#777フェラーリに追いついた。

最終コーナーでいったんはインを突き前に出た横溝だったが、続くストレートでウエイトが響いたか、加速でふたたび前に出られてしまった。チェッカーを受けたとき、その差はなんと0.091秒差。レース2は4位で終えることになった。表彰台に惜しくも届かない悔しい結果だが、それでもチームにとって、上位を争える大きな手ごたえを感じさせた週末となった。


Race Comment

レースコメント

芳賀美里 監督
Twitter:@misato_SUPERGT

この週末、レース1から着実にチーム力を上げてきたことをご覧に入れられたと思いますし、やっとレースらしいレースができたと思います。レース2に関しては少し悔しい結果となりましたが、チームとしては着実に前進していることを感じられましたし、前戦鈴鹿でのできごと以来、今回チームとして大きな一体感を感じられることができました。鈴鹿で思い切ってレース2に出る決断をしたことが、こうして繋がっているのだと思っています。あの時決断したことは間違ってないと感じましたし、本当に良かったと思いました。次戦はスポーツランドSUGOでのレースとなりますが、個人的に大好きなコースです。昨年のSUPER GTでも良いレースができましたし、岩手県出身なので、自分が初めてモータースポーツという世界に触れたサーキットでもあります。今回のレース2は4位という結果で、次戦はハンデもなくなります。SUGOでのレースに向けてしっかり準備をして、表彰台の頂点、優勝という結果にぜひとも繋げていきたいですね。

横溝直輝 選手
Twitter:@NaokiYokomizo

レース2では性能調整も変わりターボのブーストや重量も増えた中で、セッティングを考えなければいけなかったなか、チームとしてしっかりとまとまることができたと思っています。鈴鹿以来、チームの一体感は日に日に増していると実感しましたし、それに応えるためにも表彰台で終えたかったですね。ただ最後はウエイトが響き、加速で負けてしまいました。そこは少し悔しいです。とはいえ、レース1では2位を獲ることができましたし、Yogibo Racingとして初めての表彰台をプレゼントできました。土曜まですごく苦しいなかだったので、そのなかで2位を獲れたことで、みんなのモチベーションも上がったと思います。しかしチャンピオンを争うためには、今後もさらに性能調整とのバランスを探っていかなければいけませんね。

藤波清斗 選手
Twitter:@fujinamikiyoto

まずレース2については惨敗でした。申し訳ない気持ちですね。6台にも抜かれてしまいましたが、こんな経験はひさびさでした。性能調整も厳しく、ウエイトも重かったので、ライバルたちの速さの前に、可能な限りの抵抗をしましたが、最終的に横溝選手に負担をかけてしまったので、そこは反省点です。もう少し自分が前の順位なら表彰台もあり得たと思っています。とはいえクルマも悪くないですし、エンジニアさんも進化させてくれています。チームとして確実に前進していると感じる週末になったと思います。チームが良いパッケージをもっているのは間違いないですし、今回はチームとして初めての表彰台を獲得することができました。チームと横溝選手と一緒に、優勝をプレゼントできるよう、次戦も頑張っていきたいと思います。


Information

『シリーズランキング3位!』

7月24日(日)のレース2では、第2ラウンドの鈴鹿で大きなダメージを負ってしまったYogibo Racingにフェラーリ488 GT3 EVOを貸与してくれた前澤友作さんが富士スピードウェイを訪れ、チームを激励した。鈴鹿でのクラッシュでSROのレギュレーションや保険の問題など、さまざまな障壁が立ちはだかったが、木村代表や芳賀監督の交渉と決断、そして様々な方の協力があり、富士のレースのグリッドに並ぶことが出来た。今回の出来事はYogibo Racingの一体感をさらに大きく高め、第3ラウンドの表彰台という結果に繋がることになった。第4ラウンドのSUGOでは1位を狙って行きたい。


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