OKAYAMA International Circuit( JPN)
April 15 / SAT – April 16 / SUN
Yogibo NSX GT3 [GT300 class]
Driver : Reimei Ito / Yugo Iwasawa
新体制緒戦で堂々の上位争い
望外の4位フィニッシュも悔しい結果に
Report of Saturday
土曜日/公式予選
開幕戦はいきなりの雨
冷静に公式練習を進める
2021年に SUPER GTに挑戦を開始した Yogibo Racingが、2年ぶりにシリーズに戻ってきた。今シーズン、Yogiboブルーに彩られた Honda NSX GT3を走らせることになったが、体制は2021年とはまったく異なっている。ドライバーも SUPER GT初参戦となる、伊東黎明と岩澤優吾というふたりを起用することになった。2月に二度行われた公式テストでは、しっかりと走行をこなしてそのスピードをみせつけ、チームの雰囲気を高めてきた。
そんな期待とともに迎えた第1戦のレースウイークは、4月15日(土)にスタートした。舞台は岡山国際サーキット。すでに公式テストでもしっかり走り込んではいるが、15日(土)の岡山は朝から雨模様。午前9時10分からの公式練習のコースオープンとともに雨脚が強まっていく。そんななか、伊東がYogibo NSX GT3のステアリングを握りコースイン。二度のピットインを行った後、1分43秒158までタイムを縮め、その後もラップを重ねていくが、どんどんと雨が強まっていった。
一度ピットに戻った伊東だが、その後 GT500クラスの車両がモスエスで激しくクラッシュしてしまい、長時間の赤旗中断となってしまう。再開後も伊東がドライブした後、岩澤もドライブしたが、午前10時34分にコンディション悪化のため、公式練習は赤旗中断。結果的に岩澤は4周しか走行することができなかった。
予選も難しい路面状況に
岩澤が9番手を獲得
午後2時から行われた公式予選も、雨はなかなか収まることがないなかでスタートした。ノックアウト形式の予選Q1のうち、Yogibo NSX GT3 はA組から出走した。ドライブするのは伊東だ。
「午前もかなりの雨量で怖かったのですが、予選も変わらず怖いコンディションでした。しかし予選なのでプッシュせざるを得ませんでした」という伊東だったが、いざアタックに入ろうかというタイミングでコンディション不良により赤旗となってしまった。その前のラップが採用されることになったが、幸い記録した1分45秒704が8番手に。Q1突破を果たしてみせた。
GT500クラスのQ1を経て迎えたQ2。雨量は減り、コンディションはかなり良くなってはいたが、岩澤は実質午前は計測2周くらいしかできていなかったことから、「自分でもどうしたらいいか分からないくらい(苦笑)」という状況だった。しかし初めての予選で大きなプレッシャーと戦うなか、富士テストでのウエット路面の経験をもとに果敢にアタックを展開。7周目に1分38秒455を記録し、9番手を獲得してみせた。
Report of Sunday
日曜/決勝レース
一転晴天の決勝日も
序盤から波乱の展開に
明けた4月15日(日)の岡山国際サーキットは、朝から快晴。前日までの雨が嘘のような天候に恵まれた。ただ、午後からはふたたび雨が降り出す予想も出ており、雲の動きを気にしながらも、初めてのドライバーアピアランスなどのイベントをこなした。
迎えた午後1時30分からの決勝レース。急速に雲が増えていくなか、 Yogibo NSX GT3のスタートドライバーを務めたのは岩澤。初めてのSUPER GTのスタートでやや緊張したか、序盤わずかにポジションを落とし、12番手につけていく。とはいえ、上位陣を争うポテンシャルは十分。前を走る#244 GR Supraを追いレースを進めた。
そんななか、スタート直後からポツポツと舞いはじめていた雨が13周を過ぎる頃から急激に強まっていった。雹混じりの猛烈な雨が舞いはじめると、15周目にはコースアウト車両が発生。フルコースイエロー、さらにセーフティカーが入るが、その直後のタイミングを見逃さずピットイン。レインタイヤに交換し、ふたたびコースに入っていった。
このタイミングは抜群で、ピットインを済ませた車両のなかで3番手につける。他車も作業を行うと、順位は5番手に。22周目にはレースはリスタートを迎えるが、岩澤は6番手でレースを進めていった。
セーフティカー解除後、あれほど降った雨はすぐに上がり、逆に日射しが岡山に注ぎはじめた。コースは急速に乾いていき、岩澤のタイムは上がっていく。当然ライバルも同様だが、岩澤は1分38秒台から39秒台のタイムを並べていく。その後、ライバルのタイヤメーカーの装着車のなかには、スリックタイヤに交換する車両が現れた。チームもピット内でレインタイヤのタイムとスリックタイヤのタイムがオーバーラップするタイミングをうかがい、38周を終え岩澤をピットに呼び戻した。このタイミングも良好で、同時に伊東へ交代。タイヤが温まると1分34秒台から1分30秒台までタイムアップし、5番手を確固たるものにしていった。
しかし44 周目、GT300車両がヘアピンでコースアウトを喫しフルコースイエローが導入されると、そこからレースは風雲急を告げる。48周目に迎えたリスタート後、今度はアトウッドカーブでクラッシュが発生。ふたたび雨脚が強まりはじめ、またもレースはセーフティカーランに。その後、51周を終え今度は赤旗提示。レースは一時中断された。
レースはまさかの赤旗に
再逆転の機会は失われる
この赤旗は、サーキット周辺に雷が落ちたためで、20分間の中断を経てレースは再開された。ただ、この時点で Yogibo NSX GT3を含むほとんどの車両がスリックタイヤを履いていた状態。レースはセーフティカーランの状態で再開されたが、54周目、ほぼすべての車両がピットインを行い、ウエットタイヤに交換した。岡山国際サーキットはピットレーンが狭く、隣のピットの作業の間を縫うようにピットインし、作業を行わなければならない。
Yogibo Racingはそんな状況でも迅速な作業を終えるが、コースに戻るとピットが端でさらに速い作業を行った#244 GR Supraに先行されてしまう。
そのままレースは荒天のためまたも赤旗が提示され、再開されず終了となってしまった。リスタートすれば、#244 GR Supraをかわす自信はあったが、結果には4位。ルーキーふたりの戦いとしては最高の結果となったが、一方で表彰台を逃す、チームにとってはほんの少しの悔しさが残る開幕戦となった。
Race Comment
レースコメント
荒れた展開に対応できる
体制ができています
芳賀美里 監督
MISATO HAGA
Twitter:@misato_SUPERGT
今季、若手ふたりを起用したことでさまざまな声もありましたが、ドライバーたちも公式テストからしっかりと期待に応えてくれましたし、こうして開幕戦からポイント獲得という目標を達成できて良かったです。ふたりの役割分担もできていますし、チームワークもすでに良い状況にあり、雰囲気もどんどん良くなっています。ちょっとしたトラブルにも対応できる体制ができているので、今回荒れたレースでもしっかり対応できたからこその結果だったのではないでしょうか。監督としても大変なレースでしたが、まわりを落ち着かせ、いろんなフォローができるようにしていきました。そんななかで勉強にもなりましたし、貢献できた手ごたえもあったレースでした。次戦富士も期待ができるコースなので、勢いをつけたいですよね。
目標達成は良かった
次戦は表彰台を目指す
伊東黎明 選手
REIMEI ITO
Twitter:@reimei_ito_
岩澤選手からしっかりとバトンを渡してもらったので、僕もゴールまでクルマを届けることを第一に臨んでいきました。スリックに交代してからのペースが良ければ順位も変わったかもしれませんが、荒れた展開のなかで僕自身失敗してしまった部分もあったので、その点は次戦に向け改善したいですが、ただすごく大きなミスがあったわけでもなく、チームの皆さんも完璧に仕事をこなしてくれました。最終的にこの順位で終えられたのは良かったと思います。とはいえ、正直少し悔しいところもありますし、予選日から不完全燃焼のところもある開幕戦となってしまいました。とはいえ、今回チームとして目標としていた完走、そしてポイント獲得を果たせたので、チームとして良かったと思います。次戦は表彰台を目指して頑張っていきたいです。
スタートは刺激的でした
正直4位は少し悔しい
岩澤優吾 選手
YUGO IWASAWA
Twitter:@yugoiwasawa
今回、まずは無事にチェッカーまでクルマを運ぶことが最低限の目標だったので、スタートは少し抑えて臨みました。それでもすごく刺激的でしたね(笑)。レース序盤はドライで走っていましたが、ブレーキのフィーリングがあまり良くなかったです。ただ雨が降りはじめてから、ピットインのタイミングも良く順位を上げられました。チームの皆さんの判断がすごく良かったと思います。ただ今回、3位だったチームは自分がコースで一度抜いていました。最後、リスタートしてくれたらチャンスだったと思うんです。デビュー戦で4位、ポイント獲得は目標達成という意味では良かったのですが、正直少し悔しいですね。今回すごくたくさんのことを学べたので、次戦、僕自身も得意とする富士でしっかり結果を残したいですね。
Information
今年のピット周辺をぜひお見逃しなく!Yogibo Mateを探してみて!
SUPER GTに復帰を果たしたYogibo Racing。恒例のドライバーアピアランスでは芳賀美里監督、岩澤優吾、伊東黎明が Yogibo Maxとともに登場し、多くの注目を集めた。また他チームのマスコットもYobibo Maxにダイブするなど、存在感はやはり抜群。ブルーのカラーリングとともに、シリーズに戻ってきたことを強く印象づけた。
今シーズンはさらに注目なのが、Yogibo Racingのピット周辺。ぬいぐるみが大好評の『Yogibo Mate』が、ピットまわりやサインガードにいるので、ぜひ探してみては。コロナ禍の制限もなくなりピットウォークやキッズピットウォークといったファン向けイベントも復活しているので、皆さんも見かける機会がきっとあるはずだ。